1970

SONG TO THE SIREN/
           TIM BUCKLEY

           /from STARSAILOR
(TIM BUCKLEY)

なぜスターセイラーが手にはいらないんだ!!60年代後半から70年代前半にかけてのアメリカの「影の」フォーク界の宝、ティム バックリーの最高傑作とされるのに、早くCD化して欲しい。この声は、まさに天からの声であり、5オクターブの音域を持つ声は、まるで楽器のように響き渡る。
 このSONG TO THE SIRENは、この人の代表作とされながらも、スターセイラーに入っていたために今まで聴いてことがなかった。今回、ティムバックリーのアンソロジーが出るにあたって、初めて聞いたのだが、ティムの静かなアルペジオのギターをバックに、うなるように彼の声が鳴り響く。行間を読むという感じで、この人の場合は、音と音との間の静寂も彼の音となり、ゆったりとしたテンポながら、緊張感を持って流れてくる。
 派手さもなく、決してキャッチ−でもなく、しかし、人の心の奥底に響き、自分の意識の奥底に問い掛ける音である。彼は、地獄の向こうを見てしまったのだろうか・・・。この作品のあとは、ソウルな路線の作品を2作品だし、あの世に行ってしまった。もうこの境地にいることは出来なかったのだろうか?そういう意味で恐ろしい作品である。ある意味、レイディオヘッドと共通する。
                                             (6月24日)

IMMIGRANT SONG/LED ZEPPELIN
/FROM LED ZEPPELIN V(JIMMY PAGE-ROBERT PLANT)

大好きななツェッペリンのサード。SINCE I'VE BEEN LOVING YOUとどっちを書こうか悩んだけど、初めて聞いたのがサードだったし、衝撃的な曲だったのでこっちを選んだ。
 衝撃的なリフ、ギターとベースのユニゾンがすごい、それに、合わせてバスドラが「ドン ドン ド。 ドッ ドンド。」と響く。それに、圧倒的なロバートプラントの声が「ア ア ア〜〜ア」と攻めてくる。2分近くの曲なのに、この人たちの素晴らしさが詰まっている。でも、この人たちは、この路線じゃないアコースティックなもの、ファンキーなもの、アラブ的なものをしっかり自分のものにところ。
 ライブでも圧倒的な迫力で迫るが、アルバムのようには再現できない(しようと思ってない)ところがおもしろい。
 曲名は、ドラムのジョンボーナムの大きなおなかから、ヴァイキングになぞらえてつけられたとか・・。
 なぜクリスタルキングの「大都会」を思い出してしまうが、同じ所は「ア ア ア」のところと、ヴォーカルがカーリーなところか。かっこよさじゃすべてが「かっこよすぎる」ツェッペリンと比べられるバンドはないんだけど。
(2001年2月17日)

RIGHT OFF/MILES DAVIS
        FROMJACK JOHNSON(MILES DAVIS)
ジャズの神様のマイルスデイヴィスのもっとも彼らしくないといわれるジャックジョンソンの一曲目。自分は、カインド オブ ブルーとかも好きなのだが、最初の音を聞いたときの衝撃はすごかったので、この人では断然この曲である。そして、この曲になくてならないもの・・それは、ジョンマクラフリン・・・、そして、ビリーコブハムである。この二人のギターとドラムの応酬、後にマハヴィシュオーケストラに発展するが、ものすごい。
 最初のギターのカッティング、だけでもかっこいい。マイルスの曲なのでマイルスのトランペットもしゃきっとしていて十分聞かせてくれるし、デイブホランドのずっしりと重い。前作は、かなり評判となったビッチズブリューで、このころにワイト島フェスティバルに参加し、かなりロックに近かったころである。
 マクラフリンのギターを中心にぐいぐいと聞かせて、後半部では、ベースとギターによるファンキーなリフが響き渡る。
 マイルスは、自分の家の鍵を開けているところを警察官に職務質問されて(暴行?)いる。このころの前は、キング牧師、マルコムX、ブラックパンサーなど黒人の地位向上のための戦いが続けられているが、これも、ジャックジョンソンというヘビー級の黒人ボクサーのことを描いた映画のサントラである。政治的なことや社会的な背景を抜きには語ることができないだろう。
(2000年12月7日)

PEACHES EN REGALIA/FRANK ZAPPA/FROM HOT RATS(FRANK ZAPPA)

ザッパといえば、難解で超マニアックな音楽と思っていた。たしかにわかりにくいし、へんてこなメロディ、わからん歌詞、変なリズム。でも、すごく上手い。フィルモアのマザーズがとっかかりで聞くようになった。タートルズにいたフロー&エディ、エインズレイ ダンパー、ジョージ デュークとすごい人ばかりである。その中にいたイアンアンダーウッド。この人が大活躍するのがザッパの代表曲であるピーチズ エン レガリア。すごくソウルフルでかっこいいリズムセクション、ザッパのギター、サックス・フルート・キーボード・ピアノなどに大活躍するイアン アンダーウッド。かっこいい。引き締まった演奏とサックスなどの調和が見事である。難解とか言うイメージを吹き飛ばして、もっと聞いてみようと言う気持ちにさせられてその後どんどんはまってしまった。
 ホットラッツは、商業的にも成功して、ヨーロッパでもヒットチャートを駆け上った。ユーロプログレにも影響を与えたのか?
(2000年12月10日)

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